サプライチェーン・マネジメント

人権
労働慣行
環境
公正な事業慣行
消費者課題

丸紅グループは、ステークホルダーとともに進めるCSR経営の一環として、取引先を含めたCSRサプライチェーン・マネジメントを目指しています。
グローバルに幅広く事業を展開する丸紅グループは、さまざまな国や地域にサプライチェーンを構築しています。中でも途上国を中心とした地域では、強制労働や児童労働、地域環境汚染等の社会問題が潜在しています。丸紅グループはこうした背景から、健全な事業継続のために取り組むべきCSR課題として、サプライチェーン・マネジメントを重要視し、問題の発生防止に注力しています。

活動レビューと今後の目標

2015年3月期の活動レビュー

  • サプライチェーン労働基準に照らしてリスクの高い国に所在し、紅茶・緑茶を取り扱っている仕入先を訪問調査しました。
  • サプライチェーンをはじめとする必要知識を学ぶe-Learning研修を実施し、約3,000人が受講しました。

今後の目標

  • サプライヤーに対するCSR訪問調査の継続実施
  • サプライチェーンに関する必要知識を含む研修の継続実施

丸紅におけるサプライチェーンマネジメント

サプライチェーンにおけるCSR基本方針

丸紅は、2008年10月に制定した『サプライチェーンにおけるCSR基本方針』に関して2011年12月の改訂に続き、2013年3月にも一部改訂を行いました。

サプライチェーンにおけるCSR基本方針(2013年3月改訂)

  1. 丸紅は、自らがCSRへの取り組みを強化するに留まらず、そのサプライチェーンにおけるCSRへの取り組み強化をサポートし、地球環境に配慮した健全で持続可能な社会の構築を目指してまいります。
  2. 丸紅は、次項の『サプライチェーンにおけるCSRガイドライン』を定め、取引先に対して、その順守に対する理解と協力を求め、取引先と共により実効性の高いCSRを推進してまいります。
  3. サプライチェーンにおけるCSRガイドライン
    1. 1)法令順守
      • 当該国および取引に係る諸国の関連法令を順守する。
    2. 2)人権尊重
      • 人権を尊重し、差別・各種ハラスメント・虐待などの非人道的な扱いをしない。
      • 児童労働、強制労働、不当な賃金の減額、不当な長時間労働を行わない。
      • 労使間協議の実現手段としての従業員の団結権及び団体交渉権を尊重する。
    3. 3)環境保全
      • 自然環境を保護する。
      • 環境への負荷を低減し、汚染を防止する。
    4. 4)公正取引
      • 公正な取引を行い、自由な競争を阻害しない。
      • 贈賄や違法な献金を行わず、腐敗を防止する。
    5. 5)安全衛生
      • 職場の安全・衛生を確保し、労働環境を保全する。
    6. 6)品質管理
      • 商品やサービスの品質・安全性を確保する。
    7. 7)情報開示
      • 上記を含め、会社情報を適宜適切に開示する。

*『サプライチェーンにおけるCSR基本方針』で定めている人権とは、憲法、労働基準法、世界人権宣言、ビジネスと人権に関する指導原則(国連)などで定める全ての基本的人権を含みます。また、ILO(国際労働機関)の国際労働基準に定められた均等雇用、強制労働や児童労働の禁止、結社の自由、団体労働交渉権の保障などにかかわる人権も含まれます。

 

丸紅は継続的取引のある取引先*に、『サプライチェーンにおけるCSR基本方針』を伝達することで、同方針に対する理解と協力を頂くことを目指しています。
具体的には、同方針の改訂毎に、継続的取引のある全仕入先、及び新たに継続的取引を開始する仕入先に、手交、口頭説明、或いは送付等の方法で同方針への理解と協力を求める体制を構築しました。
これに基づき、2012年10月、約2,400社へ方針の伝達を完了しています。また、2013年3月の一部改訂に伴い、継続的取引のある約2,800の仕入先に対して改めて、同方針改訂版の伝達を行いました。

*継続的取引のある取引先には、仕入先、サービス提供会社、契約先、製造委託先、JVパートナー、業務委託先を含みます。

『サプライチェーン労働基準』を満たさない仕入先への対応

丸紅は、『サプライチェーンにおけるCSR基本方針』の内、サプライチェーン労働基準を満たさない仕入先に対して、以下の通り対応手順を定め、改善して頂くように要請しています。

サプライチェーン・マネジメント 教育・研修

サプライチェーン・マネジメントを実践するために、丸紅は、役員・社員向けにサプライチェーン労働基準など、必要な知識を含むe-Learning研修を実施し、2016年3月期は約3,000名が受講しました。今後も毎年、内容を更新して、教育・研修を継続していきます。

サプライチェーンCSR調査

仕入先における人権や労働環境など『サプライチェーンにおけるCSR基本方針』の順守状況を確認するため、丸紅関係者が実際に訪問しヒアリングする「現地訪問調査」や「アンケート調査」を実施しています。

アンケート調査

2011年2月に行ったアンケ―ト調査では、社会的責任投資(SRI*)の代表的指標のひとつである「FTSE4Good Global Index」が定める人権懸念国に所在し、生産時の労働リスクが懸念される製品にかかわる仕入先16社を対象としました。
調査方法としては、児童労働や強制労働などの労働者の人権問題、環境保全、公正な取引など、7項目に分けたアンケートを実施し、現地担当者等がチェックを行います。さらに個別に報告事項がある場合には、案件ごとに報告を依頼しています。
この調査の結果、CSR基本方針を満たさない仕入先はありませんでした。

* SRI(Socially Responsible Investment): 企業に投資する際にその企業が社会的責任を果たしているか、を判断材料として投資すること

現地訪問調査

「FTSE4Good Global Index」が定めたサプライチェーン労働基準に関して、不適合となるリスクの高い国に所在し、アパレル製品、農産物などの取り扱いを行っている仕入先に対して、丸紅関係者が直接、製造もしくは生産現場を訪問し、当社サプライチェーンCSR方針に関する取り組み状況を調査しています。

(1) 2016年3月訪問 Toyo Textile Thai Co., Ltd.(タイ)、S D Fashion Co., Ltd.(タイ)

2016年3月、タイにおいて、靴下の製造を行うToyo Textile Thai Co., Ltd. 並びにニット製品の製造を行うS D Fashion Co., Ltd.の製造工場を訪問し、CSRの状況について調査を行いました。
今回のサプライチェーンCSR調査は、法令遵守を中心に、人権尊重、労働安全衛生、環境保全や品質管理等7つの調査項目に沿って行われました。その結果、両社において、当社「サプライチェーンにおけるCSR基本方針」を満たさない事項は発見されませんでした。

  • Toyo Textile Thai Co., Ltd.外観
  • S D Fashion Co., Ltd.敷地内調査の様子

(2) 2015年2月訪問 Goodricke Group Limited(インド・西ベンガル州)

インドの西ベンガル州において、紅茶および緑茶(茶葉、インスタント)の製造・販売を行うGoodricke Group LimitedのAibheel茶園とインスタント・ティー製造工場を訪問し、当社「サプライチェーンにおけるCSR基本方針」に基づき、CSRの状況について調査を行いました。また、同社の親会社であるCamellia Plc(本社:英国)が設立した財団の資金で運営されている特別支援学校Goodricke School for Special Educationを訪問視察しました。

  • Aibheel茶園
  • Aibheelインスタント・ティー工場
  •  Goodricke特別支援学校

(1) 法令順守全般

  • 同工場では、操業のために遵守すべき全ての法律を許認可の観点からリスト化し、工場・オフィス内に掲示することにより、必要な許認可の更新漏れを防止していました。

  • 工場内に掲示された各種方針

    食品安全、労働安全衛生、児童労働禁止、強制労働禁止、環境、廃棄物管理などについて方針が策定されており、主要なものは英語と、現地語のヒンディー語で工場・オフィス内に掲示されていました。

(2) 人権一般、差別

  • 意見箱

    人権問題については、責任者を設置し、労働者の雇用において、性別・人種・宗教などによって差別がないようチェックを行っています。また、人権をはじめ、CSR上の問題などに関して労働者が異議申し立てできる意見箱が設置されていました。

(3) 児童労働、強制労働

  • 児童労働の防止対策として、労働者を雇用する際は、写真入IDカードにより、18歳未満でないことが確認されていました。
    標準労働時間は8時間と定められており、どうしても時間外労働が必要な場合は、割増単価で残業代が支払われています。

(4) 労働条件、賃金

  • 工場内に掲示された労働条件、賃金支払条件などに関する情報(上:英語、下:ヒンディー語)

    標準労働時間、シフト時間、賃金支払条件(金額、支払日など)については、英語とヒンディー語で工場内に掲示されており、正規労働者、一時労働者ともに、アポイント・レターが交わされていました。
    休暇については、日曜・祝日のほかに、年次有給休暇、病気休暇、出産休暇、臨時休暇を取得できる制度があります。
    労働者が組合に加入することは自由であり、賃金に関しては、Indian Tea Association(インドの紅茶産業における業界団体)と労働組合との協議を通じて、3年に1回賃金改定が行われています。
    労働者に対しては、無償で住居や電気などが提供されており、食糧についても補助をするなど、労働者に対する十分な配慮を確認することができました。

(5) 環境保全

  • 堆肥化された茶葉くず

    同社における環境への影響としては、製造工程での燃料使用による排ガス、排水、茶葉くずの発生などがありますが、食品安全マネジメントシステムに組み込まれた環境マネジメントシステムにより、適正に管理されていました。
    排水については、工場内に排水処理設備を設置し、適切に処理された後の水は、茶園の灌漑用水としてスプリンクラーで散水されています。
    茶葉くずは、生物処理によりコンポスト化後、茶園の肥料として再利用するなど、環境に対する深い配慮が伺えました。

(6) 公正取引

  • 同社は、英国Camellia Plcの子会社であることから、英国の贈収賄法(Bribery Act 2010)の適用対象になっています。金銭はもとより、贈答品の授受に関しても厳しいスタンスをとっており、全従業員が贈収賄禁止に関する宣誓書にサインをしています。

(7) 労働安全衛生

  • 茶園内に設立された病院

    同社の労働上の災害としては、茶園内での切り傷・骨折などの怪我や、火災被害などが考えられます。
    怪我の発生頻度は比較的少ないのですが、茶園内にはChief Medical Officerが常勤する病院が設立され、労働者のみならず、その家族も受診できるようになっています。また、全従業員に対して、年2回の定期健康診断を実施しています。
    現場での怪我などに備え、各シフトには必ず応急手当のトレーニングを受けた労働者を配置しています。
    火災に対しては、2カ月に一度、想定する発火場所を変えて消防・避難訓練を実施しています。
    労働者に対し安全な飲料用井戸水が供給されるよう、外部検査機関による水質検査が定期的に実施されていることを確認しました。

(8) 品質管理

  • 製造したインスタント製品について微生物分析を必ず行うほか、工場内作業場の空気中のバクテリアや酵母・カビの検査、労働者の手の衛生チェックを実施するなど、厳しい品質管理がなされていました。

(9) 情報開示

  • 同社のCSRに関する取り組みについては、アニュアルレポートに開示されているほか、ウェブサイトでも公表し、適宜アップデートされています。

調査結果

今回のサプライチェーンCSR調査の結果、Goodricke社は、インドにおける紅茶・緑茶の製造・販売業界の中でも、先進的なCSRへの取り組みを実施していることが確認でき、当社「サプライチェーンにおけるCSR基本方針」を満たさない事項は発見されませんでした。

なお、今回の調査では、KPMGあずさサステナビリティ株式会社のコンサルタントの立会いのもと調査を進め、第三者の観点から調査方法などに対する助言をいただきました。

  • 調査風景
  • Goodricke社のスタッフとともに


Goodricke特別支援学校のスタッフとともに

Goodrickeグループは、社会貢献活動にも力を入れています。今回の訪問では、その社会貢献活動の中から、特別支援学校であるGoodricke School for Special Educationを視察しました。同校は、Goodricke社の親会社であるCamellia Plcが設立した財団の資金により、授業料無料で運営されており、現地において特別支援学校が不足している状況の中、地域社会に対し貢献するため、1993年に設立されました。現在、1歳半から22歳までの障がいなどを持つ生徒たちが約140人通っています。

同校では、

  • 政治、選挙など、社会の仕組みについての学習
  • お金や携帯電話の使い方や、掃除・洗濯、配膳・後片付け、食器洗いなど、日常生活のための訓練
  • 歩行訓練
  • バッグやタオルなどへの装飾、描画
  • パソコンによる学習

などが、熱心な先生方の指導のもと行われています。

また、訓練・学習以外にも、地域の他の学校の生徒を招いてエキシビション大会を開催し地域交流を図ったり、生徒の健康診断を定期的に行っています。
訪問視察の際には、生徒たちが元気に学習に取り組む姿が見られ、また、校長先生をはじめとする先生方の生徒教育に対する情熱を感じ、社会的に大変意義深い取り組みに感銘を受けました。

  • トレーニング・ルーム
  •  装飾されたファイルやバッグ
  •  コンピューター・トレーニング・ルーム

Goodricke社 CSR責任者より

  • TINA LEPranjal Neog
    Human Resources,
    Goodricke Group Limited

Goodrickeグループは、労働集約型産業に関わりを持っており、社会的大義/先導力を具現化することは、私たちの事業において、常に重要な関心事となっています。今回のCSR調査は、当社グループがCSR関連の各方針で掲げている目的・目標に対するパフォーマンスを、実質的に評価するために役立っています。当社グループの社会的パフォーマンスと、私たちが導入している持続可能な農作業をモニターし評価するために、CSR調査は有効なツールであるといえます。

(2015年2月)

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