「庭園の中の裸婦」 ジャン=ジャック・エンネル
エンネルは1829年にアルザスの南にあるベルンヴィラーの農家で6人兄弟の末っ子として生まれました。
彼の画暦は大きく3つの時期に分けられます。
第1期は1845年からローマ賞を受賞した1858年までの若年期。地元やストラスブールで学び、1846年以降はパリで修業しました。この時期は家族や身近な人の肖像画を多く描いています。
第2期は1859年から1864年までのイタリア時代。ローマのアカデミー・ド・フランスに席を置いて、風景画を描いたり、ジォットーやコレッジオなど、イタリアの巨匠作品の模写をしたりしました。
第3期は1865年から1905年までの最盛期。パリに居住してサロンに毎年数点ずつ出品し、官展画家としての名声をほしいままにしました。当社所蔵のこの作品も第3期のものと思われます。1873年にレジオン・ドヌール五等勲章を受章したのを皮切りに、次々に画家としての名声を高めていき、1903年にはレジオン・ドヌール二等勲章の栄誉に浴しました。
第3期には神話や宗教に題材をとった絵が多く描かれています。特に、彼が愛読したヴェルギリウスやオヴィディウスなどのローマ詩に着想を得た牧歌的なテーマが多くなっています。
しかし、1870〜71年の普仏戦争で故郷のアルザスがプロシャ領になってからの作品には哀愁が漂うようになり、時には故郷の風景が裸婦の背景にノスタルジックに描かれました。そのため、彼は象徴派の画家とみなされることがあります。結局、彼はアルザスがフランスに戻る日を見ることなく、1905年にパリで亡くなりました。




