アムステルダム(1)/オランダ
運河の街に音楽は流れる
田中孝憲/Marubeni Finance Holland B.V.
オランダと聞くとチューリップ、風車、運河などを思い浮かべる人が多いかも知れません。また、絵画好きの人ならレンブラント、フェルメール、ゴッホなどの名が浮かぶでしょう。そう、オランダは数多くの天才画家を輩出した芸術の国でもあるのです。そして音楽の世界でも。アムステルダムを本拠地とし、この街に造られた同名の音楽ホールの専属オーケストラとして1888年に設立されたコンセルトへボー・オーケストラは、オランダが生んだ世界屈指のオーケストラなのです。
現在の正式名称は「ロイヤル・コンセルトへボー・オーケストラ」。ロイヤルと付いていますが、これは1988年に設立100周年を記念して女王より与えられた称号であり「王立」という訳ではない、とのこと。市民の街アムステルダムらしく、あくまでも市民のオーケストラなのです。ちなみに「コンセルトへボー」とはオランダ語でコンサートホールの意味の普通名詞。何ともシンプルな命名です。
コンセルトへボーも世界有数のホールとして知られています。赤レンガに白い縁取りのコントラストが美しいネオ・クラシック様式の建物で、均整の取れたファサードの上にはトレードマークでもある黄金の竪琴が輝いています。内部はボーン・ホワイトを基調とし、ステージの上には2,726本のパイプを持つオルガンがそびえて、落ち着いた、気品に満ちた空間となっています。内装にはふんだんに木が使用され、時と共に理想的な乾燥状態となり、世界で最も音響の良いホールの一つと言われています。「いぶし銀」と形容される同オーケストラのサウンドも、この木の暖かみと無縁ではないでしょう。空席時で2.8秒と長めの残響はマーラーなど後期ロマン派のレパートリーに理想的、と公式ガイドブックの説明にあります。ここではクラシック音楽の演奏が多いのですが、少しも敷居の高さは感じさせず、観客も心から音楽を楽しみに来ています。気品ある中にも、どこかアットホームな雰囲気の漂うコンサートホールです。
世界遺産にもなっているキンデルダイクの風車
一面のチューリップ畑は、まさに花のじゅうたん
運河沿いのカナルハウス
コンセルトヘボーの外観
コンセルトヘボーの大ホール
丸紅グループ誌『M-SPIRIT』No.39(2007年5月発行)より



